恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「さっき、あたしが元気なのを見て、ほっとした顔してた」
「……別にしてねーよ」
「あたし、大丈夫だよ。昨日の話。親切で教えてくれたの分かってるから。
ありがとね」
にっと笑いながら言った沢村が、軽い足取りで歩き出す。
そして、「あ」と声をもらした後、俺を振り返った。
「誰にも言わないからね。
昨日の話の事も……、例の事も」
「……」
「今日の昼休みも行っていい?」
「……好きにすれば。俺の場所ってわけでもねーし」
階段をリズムよく上がっていく沢村の背中を、ぼーっと眺める。
『ほっとした顔してた』
図星だった言葉を思い出して、苦笑いする。
昨日からずっとあった罪悪感が、沢村の笑顔を見てスっと消えていったのが分かった。