恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
◇ふたりの問題
┗唯SIDE
「本宮先輩っ」
2時間目の移動教室からの帰り、廊下に先輩の姿を見つけて呼ぶ。
びっくりした顔をした先輩が、あたしを見て笑顔になる。
そして立ち止まって、あたしが追いつくのを待っててくれた。
「唯も移動教室からの帰り?」
「はいっ。先輩も?」
先輩の手には、“科学Ⅱ”って書かれた教科書。
表紙に書かれてる“本宮 亘”って、先輩の名前を見ただけでテンションがあがってくる。
「最近、科学は実験室が多いんだ」
「あ、白衣着たりするんですか?」
見てみたい!と思ったのが顔に出てたのか、先輩が笑う。
「着ないよ。先生は着てるけど」
「なんだ、残念」
口を尖らせると、また笑われる。
先輩の笑顔に胸がいっぱいになりながらも、都築くんとの約束を思い出して先輩を見上げた。