恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「……尚哉らしいね」
「え?」
「あいつ、本当は優しいヤツなんだよ。
少し……、人間不信なところがあって、いつもクールに構えてるだけで」
「人間不信……?」
そうなる理由が何かあったみたいに聞こえて聞き返す。
けど、先輩はそこまでで会話を切り上げた。
あたしの問いかけが聞こえなかったみたいに微笑んで言う。
「猫の事は、なるべく速く相談してみるから。
来週の集まりまでには返事をもらっておくよ。
なるべく、いい返事を」
「あ、はい。お願いします……」
「じゃあ」って笑顔を残して、先輩が歩き出す。
広い背中も、スラッと伸びた手足も。
思わず見とれちゃうし、今までと変わらないのに。
どこか寂しそうに見えた。