恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
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「好きな人の好きな人の事を、あんまり悪く言いたくないんだけど」
そう前置きすると、隣にしゃがんでる都築くんがあたしを見る。
手元には、くるみパン。
今日はあたしが用意したんだけど、くるみをあげてもいいのかって話になって。
都築くんは、結局、くるみをよけながらパンを小さくちぎるハメになった。
「だってそういうのって、なんとなく卑怯に思えるし。
相手の粗(あら)を探す暇があるなら、自分を磨く方が有意義だし」
「つまり、彩香の事、よく思ってないって事だろ」
イライラした気持ちをそのまま声に出していたせいか。
あたしが言いたい事に気付いた都築くんがズバリ言う。
昨日の夕方とはまた姿を変えた裏庭は、爽やかな春って感じの、そよそよした風が吹いてた。