恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「二股かけられたのが分かった直後とかは、怒ったり泣いたりしたよ。
けど、泣いたりするのって、全部その人の事好きだったからだし。
元カレがあたしと一緒に過ごした時間も、優しくしてくれた事も、本当にあったモノだから」
「二股もホントにあった事だけどな」
「……過去になると、不思議といい事ばっかり思い出すモンなんだよね」
笑いながら言うと、都築くんは真面目な顔してあたしを見ていた。
そして、じっと見つめた後、ふっと笑う。
「都合のいい頭だな」
「これでも1年必死に頑張ってそう思えるようになったんだからね」
「別におまえが苦労してないとかは思ってねーし」
「ホントに?
……でも、だから、本宮先輩、ツラいんじゃないかなって。
過去にする事もできないまま、今でも引きずってるんだから」
“みゃあ”って鳴いた子猫が、あたしの足にじゃれつく。
喉を撫でると、ゴロゴロ鳴いて甘え出した。