恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「先輩が彩香さんを吹っ切って次の恋に進むには、何が必要なんだと思う?」
「……沢村はどう思うんだよ」
目を逸らさないまま聞き返す都築くん。
茶色い髪の間から覗く黒い瞳が、真っ直ぐにあたしを見ていた。
「彩香さんと……、ちゃんと決着つけなくちゃ無理なんじゃないかなって。
そうしなきゃ、いつまで経ってもあたしは先輩の目に映らない。……違う?」
「……だったら?」
「だったら……。
でも、それは先輩と彩香さん、ふたりの問題だもん。
あたしが踏み込んじゃいけない場所だよ。
……だから、難しいんじゃん」
都築くんがあたしから目を逸らす。
そして、子猫を見つめながら「そうだな」って呟いた。
「だから最初っから止めとけばよかったんだよ。あんな複雑な男」
「遊びの関係しか持たない都築くんも、本気で好きになっちゃった側から見れば十分複雑だと思うけど」