恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
購買でパンをひとつ買って、裏庭に向かう。
4月の空は晴れてるけど、まだ肌寒い。
……凍えてねーかな。
心配になって、歩く速度を上げる。
だけど、近づくにつれて話し声が聞こえてきて、立ち止まった。
「今月入って何度目ですか?」
「さぁ」
「数えてもキリがないから数えてないとか?」
「バカな事言ってないで教室戻れ」
「今、昼休みだもん。自分の好きな場所にいていい時間です」
校舎の壁から覗くと、同じクラスの沢村が口を尖らせているところだった。
2年になって初めて同じクラスになった沢村は、とにかくいつも笑ってるようなヤツ。
何度か話した事があるだけだから、そんなよく知らねーけど。
沢村は、不貞腐れたような顔をした後、嬉しそうに笑う。
一緒にいんのは……、3年の本宮か。