恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「唯、今日様子おかしかったろ」
図書室に向かいながら、本宮が言う。
校舎内には、吹奏楽部が練習している音が小さく響いていた。
「あー、おかしかったかもな」
「気付いてただろ。おまえは昔から洞察力のいいヤツだったから」
「分かんねーよ。大体俺、沢村がおかしいかどうかを判断できるほど、あいつの事知らねーし。
ただ……、確かに、さっきはおかしかった気がするけど。
おまえと目合った途端慌ててたし、さっさと出てくし。
……もしかして、沢村になんかした、とか?」
聞くと、本宮は呆れ笑いをしながら首を振った。
「しないよ」
「だろうな」
「尚哉は?」
「あー……、したかも」