恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*


トラウマになっても別におかしくない話。


それなのに、何も疑わず本宮を好きになったりするとか。

振り向いてもらえないのに想い続けるとか。


バカじゃねーの?


沢村のくったくのない笑顔が頭に浮かんできて、ため息をこぼした。


「一途とか、そこまでくると短所っつーか、弱点だな」

「俺と初めて逢った日。

唯は決心して別れを告げたらしかった。それに逆上した男が唯を殴りつけて……。

でも、唯は必死で抵抗して、たまに殴り返してた」

「……すげー修羅場」

「唯をかばいに入って、男が何か怒鳴ってから帰っていって。

それから、唯とふたりで話した。

唯、頬腫らしながら、笑ってたよ。

“やっと別れられた。自分に勝てた”って」

「……」

「でも、“本当に好きだった”って、笑いながら泣いてた」



< 87 / 448 >

この作品をシェア

pagetop