恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
トラウマになっても別におかしくない話。
それなのに、何も疑わず本宮を好きになったりするとか。
振り向いてもらえないのに想い続けるとか。
バカじゃねーの?
沢村のくったくのない笑顔が頭に浮かんできて、ため息をこぼした。
「一途とか、そこまでくると短所っつーか、弱点だな」
「俺と初めて逢った日。
唯は決心して別れを告げたらしかった。それに逆上した男が唯を殴りつけて……。
でも、唯は必死で抵抗して、たまに殴り返してた」
「……すげー修羅場」
「唯をかばいに入って、男が何か怒鳴ってから帰っていって。
それから、唯とふたりで話した。
唯、頬腫らしながら、笑ってたよ。
“やっと別れられた。自分に勝てた”って」
「……」
「でも、“本当に好きだった”って、笑いながら泣いてた」