恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「別れなきゃいけないって思いながらも、好きだからつい許すっていうのを繰り返してきたから、自信がなかったんだろ。
突拍子もないお願いだったけど……。
唯の気持ちが、俺の彩香への気持ちとリンクして……頷いた」
「……どこが?」
全然重なる理由が分からなくて聞くと、本宮は困り顔で微笑んだ。
「彩香の教師って立場は、俺だって気にしてた。
バレた時、どうなるかも。
だから、“別れるべきだ”って気持ちは、常にどこかにあったんだよ。
……でも、できなかった。
そんな気持ちが、唯の想いと重なったんだ」
静かな廊下に、俺と本宮、ふたりの足音が響く。
それをしばらく聞いた後、本宮が続ける。
「唯がそいつを忘れるまで、1年かかった。
見張るって言っても、唯が入学してくる前は、メールとかするぐらいだったけど。
多分、俺と約束したっていう事が、唯の気持ちを抑え込んでたんだろ」
「……沢村、約束とか絶対守るタイプっぽいしな」