それでも好き
帰りに、葵が


「今日は、ありがとっ!帰る方向が違うのは悔しいけど(笑)」


そう言い残して帰った。


「じゃあ、あたしたちも帰ろっか。」


大森君、ずっと黙ってる。駅からずっと。


その沈黙を破ったのはあたし。


「き、今日楽しかったね!」


大「俺は、楽しくなかった。」


えっ?楽しくなかった?


「翠とまわりたかった。」


大森君、何言ってんの?
楽しそうにしてたじゃん。

「朝、言いかけた事言っていい?」


あぁ、あれ…
なんだろ。


「俺、初めて会った時から翠が好きなんだ。」


予想外の言葉にあたしは何も言えなかった。


嘘…
大森君があたしの事を好き?ありえないよ。


「返事はいつまでも待つよ。これだけ言っておきたかったから。じゃあ。」


「じゃあ。」


って…
そんなさっぱりと?


あたしは何がなんだか分かんなくなってた。
どうすればいいの?



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