君が隣にいる意味を教えて
さっき会ったばかりの人が早口で言った。
「うん、平気だけど…どしたの?」
「あのさ、今回のテスト赤点取っちゃって
そのこと親にバレちゃって今、ケータイ取られそうなんだ。」
「あ~、御愁傷様」
「だからしばらくの間、メール返せない。ごめんね」
「わかった。大丈夫。」
それでわざわざ電話。
驚きながらもつい笑ってしまった。
「それと」
彼は私の笑い声を気にも留めず、続けた。
「お菓子、ありがと。美味しかった」
「全部食べたの?」
「ううん、夕飯でおなかいっぱいだったから
ちょっと食べた。」
「中身なんだった?」
「クッキー。美味しかったよ」
「よかった」
「じゃ」
なんだか切りたくなかった。
「バイバイ」
言葉は素直じゃない。
そして、素直じゃない塊の私は彼よりも先に電話を切る。