先生のバイク
「せんせぇ・・・」




なんで、ここで出会ったのだろう?

ここで出会わなかったなら、あんなことを言わなくてすんだのに・・・





「やっぱ中村じゃん!!
 何してんの???」

「ピアノの・・・帰りです・・・。」

まだ体が拒否反応を起こしてる。

「せっ、先生こそ、なんでここにいるの??」

「ん??俺??
 塾の帰り。水曜日は早く帰れるんだぁ・・・。」

先生は、かぶっていたヘルメットをとりながら言う。


「バ・・・バイク・・・乗れるんですね・・・。」

「知らなかった??いつも塾の駐輪場においてあるけど・・・。」

「あっ!!!
 塾長のだと・・・思って・・・ました。」

まともに話せない。
ものいすごく緊張する。

「それに・・・」

「ん???」

「やっぱなんでもない・・・。」

先生は何か言おうとしてたがやめた。
言ってよ!!って言いたかったけど、そんな勇気ない。



「俺、バイク似合わない??」

「そっ、そんなことないです・・・・・」

「ははっ、無理に言わせてゴメンな。お世辞はいいよ。」


お世辞なんかじゃないよ・・・。

本当に、似合ってるよ。


 でも、こんなこと言ったら、私の気持ちがバレそうで、怖い。

生徒になんか好かれたら、困るにきまってる。




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