車輪の唄
何かスッキリしない気持ちのまま私は自分の部屋へ向かった。


インディーズバンドの雑誌が散乱する部屋のあちこちに、上総たちのバンド、"梓"を表紙にしたものがある。


…不思議だ。不思議すぎる。


雑誌で上総を見ていた今までに、上総に"ときめいた"ことはなかったのに。


ますます自分が不思議になってきて、ベッドに身を投じた。


その不思議な気持ちは、枕元にあるドラムスティックを振り回してみても晴れる事はなかった。
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