車輪の唄
「あ、そ。疲れが出たんでしょ-。ゆっくり寝な。私も寝るからぁ-」


そう言うとお母さんは上げていた頭を枕に戻した。


安心したような物足りないような気持ちで部屋に戻った。


コ-トもマフラ-も鞄も床に放って、勢いよくべッドに倒れ込む。


ふと、窓の外を見た。


雪が止んでいる。


さっきまであんなに降りしきっていた雪は、いつの間にか止んでいた。


晴れ間すら覗いている。


溜め息が出た。


私は気付いていた。


ドアの向こうにお母さんが立っていること。


気付いているんだ…


私がただの体調不良じゃないってこと。


「ありがと。お母さん」


小声でドアの向こうにお礼を言った。
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