車輪の唄

3

「おはようございまぁす」


次の日、私は何も無かったかのように普通に出勤した。


気分的に楽になったのもあったし、何より昨日お母さんと行った買い物ツア-で二人合わせて10万円も買い物して、未だ興奮覚めやらぬ…というのもあった。


今日、一緒のシフトが組まれているのは主任、今岡、榊原という新人、そして私。悪い組み合わせではない。


「葛西さん大丈夫??もういいの??有給残ってるし、無理しなくていいのよ」


心配そうに暖かい言葉をかけてくれる主任の横で、今岡が最もらしく頷いている。


「もう大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ございませんでした」


そう言って私は深々と頭を下げた。


「そう、じゃあいいの。いきなりだけど、第三スタジオの掃除へ行ってくれる??榊原さんが一緒に付くから教えてあげてね」


榊原は私と同じ高校の出で、可愛らしい女の子だ。


愛想もいいし、よく働く。


だから他のスタッフからも受けがいい。


…私は何か裏がありそうな子だと思うけど。
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