車輪の唄
愛情は恨みに変わって、呆れになった。


だから実際は付き合った人は一人いるんだけど、気付いた。


あたしは晴彦にとって、恋人じゃなかった。


ただの"都合のいい人"だったんだ…


それから、晴彦の事を元彼として数えなくなった。


今でも考えたら考えただけ腹が立つ。


そして自分の馬鹿さに涙が出る。





チ-ムを抜けて、あたしの心は音楽に向いた。


ドラムに打ち込んでいく内に、生活は普通になった。


それから何年かして、上総に出会った。


それまでにも何人かの人を好きになったけど、晴彦とのことが頭をよぎって惚れ込めずに終了。


そんなことをしている間に、あたしの心に自分を抑える心が浸食してきた。


好きになんてなれない。


好きになれても、あたしは…自分を保つ。


絶対に付き合ったりしない…


なのに。


上総はあたしの心に入り込んだ。


晴彦に出会ったときのような気持ちを思い出させた。


抑えられないような気持ちを。
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