車輪の唄
可能性が無い訳じゃない…


春菜の何気ない労いの言葉が、私の心を晴らす。


「頑張っちゃえば??ってか、頑張らなきゃね」


煙草を消して、私たちは立ち上がった。


上総との距離は、ありすぎるほどあるように感じた。


でも春菜が言ったように、可能性がないわけでもない。


付き合いたいとか、結婚したいとか、現時点でそこまで考えてもいない。


ただ、漠然とした恋心だけだった。


私には彼氏なんてものは今まで出来たことがない。


告白されることは多々ある。


だからモテないという訳ではないようだが。


春菜を始め、彼氏なんてのがいる友達を見ると、なぜか…



情けなくなる。



機嫌をとって、彼氏の言葉に一喜一憂して。


私なら疲れてしまって、どうしようもないだろう。


誰かを好きになることは今までにも何回かあった。


それ以上にならないために、自制心を持って惚れてきた。


今でもそうだ。


手が届かない分、普段姿が見えない分、自制心を保たなきゃ



私は崩壊しそうだった。
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