HARUKA -衝動の果てに-
「でも、悠の気持ちも考えてやれ」

俺は厳しく言った。

「4年間も、オーディションを受け続けてるんだぞ」

「そ、そんなに・・・?」

「きっとあいつは、今行ったやつに落ちたら本気で髪染めるかもな」

「なんでですか?」

「最近売り出したいのは黒髪の純情娘なんだと。赤髪でいかにもスレてますーっていう悠は対象外。どんなに歌が良くてもな」

「そんな」

「分からないけど」


悠の歌は俺も一回聴いたことがある。

―――素晴らしかった。

圧倒される声量。
まっすぐな歌声。
“本物だ”というオーラまでついていた。


「・・・もったいないな」



呟くように俺は言った。
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