HARUKA -衝動の果てに-
「ありがとう」


そうか・・・。

一人で歌うのと、誰かに聴いてもらうのは、全然違うね・・・。



「今歌っていたのは、君かな?」



突然聞こえた声は、後ろからだった。
40代くらいの男の人―この店の店長だ。



「楽器は何か弾ける?」

その質問は、無論あたしに向けられたものだった。


「えっと・・・ギター」

「ギターか。多分奥の倉庫にあるな・・・」

「あの、何か?」

「ああ、すまない。今の歌を、もう一度歌ってくれないか。そこにステージがあるだろう?そこで歌って欲しいんだ。嫌だったら、いいんだけど・・・」


確かに、そこに木で造られた横60cmぐらいの台があった。

マイクもあった。

どうやら、今用意したものらしい。

あたし達はずっと作戦会議やら何やらしてたから、気付かなかったけど・・・。


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