HARUKA -衝動の果てに-
あのファン第三号の子は、あたしが誰かの曲のカバーを歌ったとしてもきっと聴いてくれる。
霧羽も、平山も。
そういうことだよね・・・。
『じゃあ、オーディション受ける気になったってことか?』
「うん。有名なとこや受かりそうなとこだけじゃなくて、いろんな事務所当たってみようと思う。いい歌を届けられるんだったらどこでもいい」
『辛いことがあってもか』
「自分の力にするよ。そしてもっともっといい歌手になる」
きっぱりと言った。
電話口から、溜息のようなものが聞こえた。