うさのさんの動物観察日記
しかし…
とは思ったものの、先日の「コバエ事件」で、自らの力の大きさと小虫の弱さは身にしみて分かっている。
うさのが水玉の中の小虫を指でつまんで救いだそうものなら、羽虫はうさのの指圧に負け、あっという間にズィ・エンドだ。
仮に指と指の間に絶妙に羽虫を挟めたとしても、水玉に働く表面張力が作用して、糸よりも細い手足やサランラップよりも薄い羽は無傷のままでは済まないだろう。
―誰もが、不可能と思った。
♪風の中のすばる~
砂の中の銀河~♪
うさのの脳裏に、中島美幸の「地上の星」が響き始める。
―その不可能に、立ち上がった男たちが、いた。
水玉の中から羽虫を救出する前代未聞のプロジェクトが、今始まろうとしていた!
素晴らしいひらめきというのは、八方塞がりと思える状況から突然、降ってわくものだ。
いいこと考えた!
ビショビショのまま考え込んでいたうさのに、ひらめきの神が舞い降りた。