うさのさんの動物観察日記
作戦名、「アリさん空輸計画」
我ながらいいことを考えた。
巣穴の近くまで、シャケごとアリさんを運んであげればいいのだ。
巣穴の近くまで来れば、仲間が気づいて応援に駆けつけてくれるだろう。
あぁ、うさのってなんていいヒトなんだ♪
自らの善行に陶酔しながら、早速シャケをつまんで巣穴の近くまで運んであげた。
「あれ?なんだか今、軽く無重力状態だったような気が・・・」
瞬間移動したアリは、素敵な奇跡が起きたことにまだ気づいていないようだ。
ご心配なく。お礼は無用です。
いえ、名乗るほどの者ではありませんので・・・
シャケとアリをそっと地面に下ろすと、うさのはまた静かに見守ることにした。
「あれ?あれ?さっきまで上野にいたのに、もう大塚にいる!え、なんで?」
アリは首をかしげながらも、また運び始める。
近くにいたアリたちが、シャケに気づいて近寄ってきた。
良かった。
これで、もう安心。
みんなで運べば、巣穴はもうすぐそこだ。
良かったね、アリさん。
うさのがそっと微笑んだ、そのときだった。
・・・あれ?