うさのさんの動物観察日記
よく晴れたある日の夕方。
うさのは、買い物袋を下げて家に向かって歩いていた。夕日のオレンジと青空のグラデーションがきれいだった。時折吹いてくる風も心地よい。こんな気持ちの良い日は、歩くに限る。
そもそも、人間は車を使いすぎなのだ。うさの母なんか、500mも離れていない最寄りのショッピングセンターに行くのに「車で行こう」と言うのだが、全くもったいない話だ。ガソリンがもったいないのではない。歩きでしか得られないものがある。空気に含まれる季節の花の香り、靴の底から伝わる地面の感触、頭上に広がる空の色、道端の小さな草花。時間に制約のない、天気のいい日に歩くのは、最高の贅沢だと思う。
・・・そう思ってる割には、「近道発見♪」などと言って駐車場を斜めに横切ったりしているのだが。
「車に乗ってる皆さんは気づけない、色々なステキなものを歩いてゲットしてるステキなあたし」に一人酔いしれながら歩いていたうさのだったが、はたと足を止めた。
何かが聞こえたような気がしたのだ。
それは悲痛な感情のこもった音、いや、声だった。