座敷わらしの恋
表情がまるでノイズがかったように見えなくなる。

けれど、呟きははっきりと耳に届く。

泣きそうな、声。

おい、そんな声、お前らしくないじゃんか。

って、じゃあこいつらしいって、なんだっけ。


「それは、嘘じゃない……幸せ、だったぁ……」


手を伸ばそうとする。

でも、どこに手を伸ばせば届くのか、分からない。

伸ばしていいのか、分からない。
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