座敷わらしの恋
3.紫
カナカナカナ、と遠くヒグラシの声が聞こえる。
ってことはもう夕方か?
いや随分と昼寝しちまったなぁ、なんて思いかけて、顔がじんじん痛いのに気付く。
「いってぇ……」
顔をさすりながら目を開けると、眼前に心配そうに自分を見つめる少女の顔があった。
「あ、気がついた!」
よかったぁ、と少女が胸を撫で下ろす。
「死んじゃったかと……」
「勝手に殺すな……しかもそれじゃ、お前が殺人犯だろ」