ミ カ ン が あ つ ま る
両親が離婚して早八年。母親には一度も会っていない。
会いたいとは思うけど、行動にしようとは思ったことがない。
小さい頃からこんな感じ。
冷めてると言うか、冷酷と言うか…。


可愛げが無い。とは自分の事を言うのではないかと思う。



プッカの朝ご飯が終わったのを見て、部屋を掃除する。
朝5時。

掃除機なんてかけたら近所迷惑になる時間帯。
近所様の睡眠を妨げないよう、ほうきを使って埃を掃く。

それから支度。
朝ご飯なんて食べない。気持ち悪くなる。
水を飲んで、顔を洗う。
それから歯磨き。
鏡の前で制服に袖を通す。

新調を間違えたのか、一回りデカい制服。
高校に入学してから二年たつのに未だにブカブカしている。


「不恰好すぎる…」


黒色の生地に白のライン。真っ赤な大きめのリボン。
指定された制服の可愛さに惹かれて入学した高校も、もう飽き飽き。

日に日に痩せていく身体。

大きかった制服が更に大きく見える。

身体を覆う金色の髪が更に身長の小ささを際立て、華奢さを際立てる。

虚ろな曇りがちの大きな黒目。小さなおちょぼ口。長く濃いまつげ。
そこらへんの女優やらモデルなんかより何倍も可愛い。

見た目だけは自信がある。

毎日努力しているからこその、自信。


「いってくるね、プッカ」


返事は無い。なにしろ相手はウサギ。




バシンッ



…足を地面に打ち付ける音が、プッカの返事。


< 2 / 11 >

この作品をシェア

pagetop