ミ カ ン が あ つ ま る
桜彩学園高等部。
毎年、文化祭のミスコンだけが異様に盛り上がる。
自過剰な女子が集まるから。
大して可愛くもないのに。
キャピキャピキャピキャピ。耳障りな女子。
「のん-。おはよぅ」
教室に入るなり一人の少女に声をかけられる。
「里沙…おはよ」
彼女だけに聞こえるくらいの声で返事をする。
唯一無二の親友。里沙。
私が可愛いと認めるただ一人の女子。
長身で短い髪はふわふわなパーマ。細く長い手足は大きく露出されている。割にはいやらしさを感じさせない。
…ショートヘアの大和撫子。
「のんは相変わらず…ほっそいねぇ」
毎朝言われるセリフ。
「当たり前じゃない」
鼻で笑って即答してみせると、里沙は呆れ顔になる。
その自信がムカつく。と。
心の底から言っていないと解るから私も言い返さない。
それを知る里沙もそれ以上なにも言わない。
無駄話がなくて楽な関係。
私達はいつも一緒にいるけど、別々のことをしている。
私は机にうつ伏せて仮眠をとり、里沙はネイルを直す。
「そのネイルやめたら?」
「え?」
「濃くない…?」
「まじか…」
そんな会話を一つ二つ。
直ぐに授業が始まる。