君想論 〜2人のサヤカ〜


やめてくれ……

そんな熟れ過ぎたトマトを見るような目をオレに向けないでくれ。

どれだけ悪態をつこうが、桐野くんが独り身であることは揺るがないし揺るぎない。

ちっくしょー……


桐野くんが世の中の不条理に舌を噛もうかと悩んでいた。


その時!!!!





「きーりーのさんっ♪」


腐りきっていたオレの美心に天使の息、いやエンジェルブレスが吹き込まれた。

それは桐野くんの倫理を正し、道徳を正し、人間が本来その身に宿し忘れ去られていた真心に慈しみの光を灯した。

振り返って声の主を確認すると、七虹の光を御身に携えた女神が立っていた。


なんていうか……もー……

とりあえず、結婚してください。




「お…おぅ……君は確かえぇ〜っと……[椎名]だったっけ……??」

「はい、椎名です♪覚えてくださってたんですね♪」クスクス



よーし、いいぞ桐野くん!!!!

ナイスなポーカーフェイスだ!!!!


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