君想論 〜2人のサヤカ〜


「あ、すみません。私の携帯です」


椎名は慌てた様子で、通学鞄の外ポケットからピンク色の可愛い携帯電話を取り出した。

2つ折りのデザインの携帯電話を開き、カチカチとキーをプッシュしている。

どうやらメールらしい。


「……………」

(朝っぱらからメールか……)


液晶画面に目を泳がせること30秒。

椎名はふぅー、っとため息をつくと、可愛い笑みをオレに向けてくれたヒャッホー。


少し残念そうな口調で、


「すみません桐野さん。出来れば最後まで一緒に登校したかったのですが……急用ができてしまいました」

「急用……!!??」


何ちっくしょー!!!!

メールの内容は分からんが、どうやら呼び出しのようなモノを食らったらしい。


「本当にごめんなさい!!!!急いで学校に行かなくちゃならないので……では!!!!」


律儀にペコリと一礼した後、椎名ちゃんは駆け足でオレを通り過ぎてしまった。


惜しいぞ桐野くん!!!!

悔しいくないのか桐野くん!!??


このままただで済ます訳にはいかーん!!!!!!




「おい、椎名!!!!」

「あ、はい!!!???」


駆け足の椎名ちゃんがクルっと身体を翻し、桐野くんと向き合う。


「よかったら、今日の昼休みに1組に来いよ。何か話の途中だっただろ!!??」


そう。

こう言うことで、今日の昼休みに椎名ちゃんとまたお喋りできる機会を作れるのだ!!!!

桐野くん、あったまイイー!!!!




一方で椎名ちゃんも満面の笑みで、


「はい♪では、お言葉に甘えてさせて貰いますね♪」クスクス


それではっ♪

っと、可愛らしく微笑み、椎名ちゃんは駆け足で去って行った……


「……………」




可愛い……


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