君想論 〜2人のサヤカ〜


「桐のん、サヤちゃんはどこに行ったの〜??」

「はぁ……??」


柿金は昼食のパンの包装をペリペリと剥がしながら言う。

誰だ……サヤちゃん……??


「んとねー、転校生の[梧 清花]ちゃん♪桐のんと同じクラスでしょ〜??」

「あぁー、梧ね……」


そう言えば、まだ戻って来ない。


……っつーか……

昨日、アレだけの悶着を引き起こしておいて、よくも馴れ馴れしく[サヤちゃん]だなんて呼べるな……

そして、コイツはオレの[桐のん]も定着させようと企んでいるようだ。


「知らん。どっか行ったわ」

「えぇー、知らないの〜??」


何か文句あんのか小娘が……??

父さん、今ちょっとピリピリしてんだよ。


「桐のん、サヤちゃんと友達じゃなかったの……??」

「友達っつーか……」

「てっきり、一緒にご飯食べたりしてるのかと思ってたぁよ……」


そう言って、ショボーンっとしながらコッペパンにかぶりつく。

友達だなんて言われても、つい一昨日に転校してきたばかり異性とフレンドリーシップを築ける程、桐野くんは社交的ではない。

基本的にはね。


「じゃあ、いつも1人でご飯食べてるの〜??」

「悪いか??」

「桐のん、友達いないの……??」

(あ゙ぁッ!!!???)


段ボール箱に捨てられた子犬を見るかのような憐れみの表情を作る柿金さん。

桐野くんのコメカミに青筋が走った。

毛細血管もくっきりさ!!!!


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