君想論 〜2人のサヤカ〜
我が門歯がコッペパンの端っこを捕らえようとした時だ。
ガシッ!!!!
っと、ブレザーの襟の辺りが何者かに鷲掴みされた。
「あぁ……??」
「あーっ……」
その瞬間に、オレ(と柿金)は驚き混じりの素っ頓狂な声を漏らした。
[誰かに襟を掴まれた]。
そう気付いたと同時に、オレは周囲の異様な空気を感じ取った。
教室の雰囲気がさっきまでとは違う。
各々がワイワイガヤガヤしていたクラスメート達が、発声をピタリと止めていた。
まるで[何か]を固唾を呑んで見守っているような……他人事を盗み見る野次馬のような……
その視線が教室の窓側後方一番目=オレの方に向けられていると分かった時、その[何か]がオレにとって他人事ではないのだと同時に理解した。
背後から感じる異様な存在感がそれを告げている。
オレが生唾を飲み込んで、ゆっくりと上体を180゚回転させ振り向いてみると――………
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