君想論 〜2人のサヤカ〜
第四節
[梧 清花]はオレの座高を少し越える位置から、冷ややかな視線を下ろしていた。
既存のクラスメート達からの注目を浴びつつ、[梧 清花]は、オレのブレザーの襟を右手で鷲掴みにしたまま淡々とした口調で言った。
「お前……[桐野 泉]だよな……??」
「は…はぁ……」
まぁ……桐野くんは[桐野 泉]ですけど……
一体、何のご用だい……??
そう質問する前に、[梧 清花]に動きがあった。
「話がある」
「へっ??」
「ちょっと面貸せ」
「話って……って、ちょッ!!!???」
グワっ!!!!
っと、視界が勢いよくブレた!!!!
何事かと思えば、[梧 清花]はなんとオレを掴む右手を思い切り後ろ向きに引いたのだ!!!!
それはとんでもない馬鹿力。
着席していた桐野くんは、後ろから加えられた運動ベクトルを堪えきれず、椅子ごと後ろにひっくり返った。
ガタンッ!!っと勢いよく椅子が音を立てて倒れ、教室中の視線を一挙に呼び寄せた!!!!
オレはと言えば、当たり前のように椅子から放り出されたが、床に倒れ伏せようにも、襟首を掴まれてるモンだから宙ぶらりんで、
「ぐぇッ!!!???」
っとなっている状態だ。
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