君想論 〜2人のサヤカ〜
―廊下―
ズルズルズルズルズルズル………
「ん゙ぬぐぅえげゎ☆●£℃$▲∞〜〜!!!!」
く…くく……苦しい……そして痛い!!!!
痛いって何が!!??
心が痛い!!!!
周りの視線がイタタイターイ!!!!
「梧゙……デメ゙ェーー!!!???」
「……………」
オレの首をグイグイ締め付けやがるネックタイを掴み、何とか気道を確保。
満身創痍に薄れゆく意識の中、精一杯[梧 清花]を睨み付けるが……
当の本人はお構いなしナッシング!!!!
えぇーい!!!!止めよ!!!!通行人ッ!!!!
オレを見下ろすんじゃない!!!!
あ、何か口から泡出てきた。
「黙ってろ」
「無茶言うなよッ!!??」
「うるせーよムカつくな……」
不機嫌そうに文句を垂れたが、逆ギレもいいところだ!!!!
……だが、それにしてもなんつー馬鹿力だ!!??
桐野くんは全国の男子高校生の平均身長を上回っているため、それに準じて体重も平均よりやや重い方なのだ。
にも関わらず、標準よりやや華奢な身体付きをして、それも杖を付いているこの少女は「難なく」っと言った顔で引きずっている。
あの細い腕に一体、どれほどの筋組織で構成されていると言うのだ!!??
心身共に有無を言う余裕もなく、桐野という名の哀れな少年は転校生少女によって搬送されて行く――……