君想論 〜2人のサヤカ〜


「待て待て待て待て!!!!それはいくら何でも理不尽じゃないか!!??そもそも、その秘密とやらが露見したのはお前の不注意が原因だろ!!??」


何故、オレが脅される側に回らねばならんのか!!??

誰にも知られたくない秘密を知った人間は、むしろその人間に対して優位な位置に立つもんだ。

狡猾な人間ならば、要求を突きつけるのはコッチの方なのであるよ本来ならばな。


「じゃあ、今後も似たようなシチュエーションでお前がドジ踏んだとしても、オレの秘密(=青春の過ち)を暴露するってのか!!??」

「そうですね」

「ふざけんな!!!!一応、明言するけど、オレ、被害者だからなッ!!??」

「ゴメンナサイ……もう“サヤカ”と決めてしまったコトなので……」


あんまりだ……!!!!


「もしバレそうになったら、フォローしてください……ワタシも出来る限り桐野くんの秘密が公にならないように助けてあげますから……秘密は共有しましょう……」

「納得いかねぇー!!!!!!」


ただ“弱み”を握られてる以上、拒否権はないワケだ。

「秘密を共有する」なんてのは上辺の話。

今後もその“弱み”を盾に、それとなくコキ使われることは目に見えている!!!!


この場合、手綱を握っているのはどっちか……??

言うまでもない。その[秘密]が後ろめたい方の首に縄が括われる。

つまり、握られているのはオレの方だー!!!!




「今後もワタシ達の言動には目を張ってくださいね……ワタシは極力気を付けますが、“サヤカ”はワタシと違って短気を起こしやすいですから……助け舟を出してくれる人がいてくれるのはとても有り難いコトです……」

「……………」


コイツは一体、オレを何のカテゴリーにハメてやがるんだ……??


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