君想論 〜2人のサヤカ〜
さて、
「面白そうなネタ……??」
とはなんぞや……??
当たり障りなく、健全に学校生活を送る桐野くんにそんなモノはない筈だ。
が、[バイク女]の口から漏れた戯言は核爆発と並ぶ威力があった。
「お前、柿金の彼氏かー??」
「ブフゥッ!!!!!?????」
な…何ですって……!!??
オレの盛大な吹き出しに若干表情を引きつらせつつ、[バイク女]は続けた。
「昨日の昼休みに柿金のお馬鹿さんがスキップしながら廊下を歩いてたモンだから、ちょいーと後を付けてみたら、お前と柿金が仲良く談笑してたから……あーなんだ、そーゆー関係なのかと思った訳だー」
なにそれ、コワイ。
「断じて違う」
「あー、そう……なーんだつまんねーの……柿金に彼氏とか爆笑ネタだったのによー……」
ナンテコッタ。
昨日のオレと[柿金一世]との会合は、端から見ると[談笑]という風に映るのか。
コレは気を付けねば……
「アンタ、あのチビガキ(柿金)の知り合いか……??」
「んー??知り合いっつーか、同じ穴の狢(むじな)っつーか……」
………????
「まぁ、ただの腐れ縁だな」
「そりゃ、奇遇だな。オレだってあんなガキとは、腐り通った縁しかねぇーよ。『縁』があるのかも怪しいが……」
「ヒャハハハ!!!!確かにアレ、うっせぇーからなー!!!!」
おーおー、何だ気が合うじゃないか。
だが、友達仲にはなりたくないな。
桐野くん、不良こわい。
「おっと、駄弁ってる場合じゃねーなこりゃー……このペースだとバイク隠してる間に遅刻んなっちまうなー」
「闇チャリならぬ、闇バイク……」
「……ヒャハハ!!!!お前、おもしれーな。なーんか興味湧いて来ちゃったぞ〜??」
そう恐ろしいことを言いながら、[バイク女]はブレザーの胸ポケットの中を弄り始めた。