君想論 〜2人のサヤカ〜


すると漸く、[梧 清花]に反応が見られた。


「………るな………」

「はぁ??何だって??」


るな……??ナニソレ、人の名前??


「ブツ……るな……ブツ……ねずみ……」ブツブツ


はぁ??ねずみ……??

オイオイ、何かブツブツと寝言言っちゃってるよこの子ったら。可愛らしい所もあるではないか〜

支離滅裂な単語を漏らす[梧 清花]に、若干顔を綻ばせた桐野くんは、親身な気持ちでもう一度体を揺すって優しく言ってやった。


「おーい、起きろー、梧ー??」


すると……




今度こそ[梧 清花]の顔が持ち上がった。

どうやら寝ていた訳ではなかったらしい。

半開きの眼(まなこ)をゆっくりと此方に動かし、ボリュームは低くともハッキリしたトーンでこう言った。












「気安く触るなドブネズミ……」




すみませんでした。

寝言ではなく、ただの悪態でした。




「いっッ……」


入れ替わってらっしゃる……!!??


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