君想論 〜2人のサヤカ〜


ん……んん……??




「お前……今なんて言った……??」

「んー、だから今日はー……」


そして――………




タッタッタッ……




遅れて廊下の方から慌てた様子を窺える足音が響いてきた。

合間、合間にハァ、ハァという可愛らしい息継ぎが聞こえる。


(まっさか!!??)


足音と今日の前で止まると、開きっぱなしになっていた教室の戸口に女神がいた。




「ハァハァ……イッセー……ハァ……走るの速すぎだよ……ハァ……置いていかないでよもう……ハァ……」

「ごめんごめ〜ん♪なんか途中で走るの楽しくなっちゃってさぁ〜♪」

「もう、イッセーったら……」


これぞ神が与えてくれたご褒美。

少し息を荒立て、うっすらと流した汗で乱れたブロンド色の前髪を手櫛で整える仕草がセークシィー!!!!


女神はやれやれといった感じにため息を吐くと、桐野くんに目を合わせてくれた。

クスッと可愛らしい笑みを作り、ゆっくりと此方に近づいてきた。


や…ヤバい……ヤバ過ぎ……マジ、ヤバス……

オレのボルテージがヒートアップし、キャパオーバーして天井知らずの青天井だ。

一旦落ち着こうと、ゴックンと生唾を飲み込んだところで、


「こんにちは、桐野さん♪」


女神の口から発せられたお声によって、平常に保とうとする心(=平常心)が陥落。

我、感無量也。


「お、お、……おおおおおう……」


それでもポーカーフェイスを貫けた桐野くんを誉めて欲しいね。




そう。

教室に降臨したのは女神ことマイワイフ、

[椎名]ちゃんであった!!!!


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