君想論 〜2人のサヤカ〜


どーにもこの“サヤカ”という人格(仮)は、他人との間に隔たりを造りたがる性癖らしい。

理由はよく知らんが、そんなんで上手くやってけるほど集団活動は甘くはない。

仮にそれで三年間を過ごせたとしても、若き青春の1ページが苦々しい思い出になっちまうよい。


「(迷惑をかけようとしてんじゃないんだ。席を並べて飯食う[だけ]。それなら問題ないだろ??)」


……って、何を熱く語ってんだ桐野くん!!??

お前っちはそんなキャラじゃないだろ!!??

ウェイクアップ、いつもの[桐野 泉]くーん!!!!


「……………」


[梧 清花]は桐野くんのお恥ずかしい熱弁を無言で通し、左手を押さえつけていたオレの手を右手で払いのけた。

マズいな、もしかして怒りの矛先がオレに向いちゃったかい……??

などと、冷や汗をかいていた桐野くんだったが、意外なことに……


(あらら……??)


[梧 清花]は左手を杖から放して、そのまま頬杖をついて外方(そっぽ)を向いてしまった。

要は「もう勝手にしやがれ」ってこと何だろう。

その態度を見て、すかさず動いたのがマイエンゼル・椎名ちゃん。


「それじゃ、4人で一緒に食べましょうか♪私もうお腹ペコペコですよ」


流れを読むのが上手い子だな……もしかして、こうなることが最初からわかっていたのかもしれない。


「わーい☆じゃあ、机くっつけちゃおっか♪」


はぁ、4人か……

やっぱりコイツも頭数に入ってるんだよね……でないと来た意味ないしね……


柿金は「待っていました!!」っとばかりに、[梧 清花]の席の周辺の机を我が物顔で動かし始めた。

オレの机も巻き込みおって!!!!悪気がなくても許さんぞ!!??




こんな感じで不本意にもオレの活躍によって、


桐野くん、
[梧 清花]、
椎名ちゃん、
柿金こんちくしょー


の4名は一緒に昼食を取ることになったのであった。


この組み合わせに、オレは喜ぶべきなのであろうか――………
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