君想論 〜2人のサヤカ〜


「最近、ソイツが可笑しな方向にボケが進行してきちまっているんだよ。その内、砂糖と塩を間違える見事なボケを披露してくれそうで任せるられないんだよ。自分で作る分には安心できるしな」


食費の問題だってある。

毎日、購買でパンも買って食うより、冷蔵庫にあるものを適当に組んで弁当を作った方がオレの財布の中が安泰で済む。


「へぇー、桐のんのお母さんはおっちょこちょいなんだね」


はい、貴様が言うな。


「でも、それもつまり桐野さんの愛情ですよね。手間暇かかる家事を代わってあげるというのも、家族のことを想っていないと出来ないことですよ。良い親子関係じゃないですか♪」

「そんなもんかねぇ……」


オレは糠漬けしたキュウリを適当に咀嚼しながら空返事をした。

            ・・・
家族を想うと言うか本当にあの人に任せるのがおっかないってだけな気もするんだが……



その間、[梧 清花]はメロンパンを(以下略



「栄養士の親を持つというのも頼もしいですね。美味しくて健康に良い料理を食べられて、自分でも作れるようになって……何だか桐野さんのお母さんが羨ましいですよ♪」

「いやいや、他の気苦労を考えると羨むほどでもねぇよ……」

「あははは♪桐のんも素直じゃないねぇ〜☆自分のお母さんが誉められると照れくさくなるのは何となくわかるけどさぁ〜♪」


うっさいなぁもぅ〜!!!!



この間、[梧 清花]は(以下略








「う〜ん……って言うかね……」


昔から自分の家事情はあまり話さないようにしているのだが、椎名ちゃんらがグイグイと話を深めてくるのでオレもウッカリ口が滑って話し過ぎちまった。


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