君想論 〜2人のサヤカ〜
―――…………




とまぁ、こんな感じなことを話してやった。

するとどうだ……??


「……………」

「……………」


対面の2人が口を噤んで黙っちゃったじゃないかやっちゃったって感じだっちゃもぅ!!!!

だーからあんまり人に話したくないんだよ……


「ごめんね桐のん……不謹慎なこと聞いちゃって……」


謝るなっ!!!!

謝まったらもっとそっち方面の空気が進行しちゃうでしょ!!??


「別に気にする必要なんてねーよ。昔の話だ。なーんも覚えてないからよ……」


オレからしてみれば、物心がついたら、いつの間にかじーさんとばーさんが親になってたってだけの話だ。

記憶にもない実親のために一々辛気臭くなっては人生損した気分になるだけだし、天国の親父らそんなこと望んじゃいないだろう。


「そうですね……過去にしがらみを持つより、[今]を生きることの方が賢明ですね……大切なのは過去より未来ですからね♪」

「あぁ………」


その通り、良いこと言ったよ椎名ちゃん(流石はオレの嫁だぜ!!!!)。


何事も前向きにさ。

過去の悲しい出来事に振り回される悲劇の主人公になる気なんざ、桐野くんはこれっぽっちもないんだよ……




「……………」
























「本当に始末が悪いのは、そう簡単に忘れられない“不幸”だからな……」


「えっ……??」





―――…………
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