君想論 〜2人のサヤカ〜
一回、変な空気が出来てしまったせいで、会話が沈んだ。
それまで仲良く談笑してらった椎名ちゃんと柿金も、黙って黙々と自分の飯を食べている。
(やれやれだぜ……)
何かオレが悪いみたいじゃないか……気分悪いぜ……
そうしてオレも、今朝作った自作弁当に本格的にありつくことにした。
うん、美味いなパエリア。我ながら上手くいったぞぃ。
(ここまで上手にいったら後は冒険だな。唐辛子でも刻むか……豆板醤もアリだな………………って、あれ……??)
などと、レシピの改良にイマジネーションを膨らませていると、不意に右隣に座る[梧 清花]が視界に入った。
相変わらず、外方(そっぽ)を向いているものの……
(あれ……??コイツ、さっきまで左手で頬杖ついてなかったっけか……??)
いつの間に、右手に変えやがったんだ……??
とまぁ、それほど気にする変化でもないんだが、右手にシフトしたことでさっきまで見えなかった表情が横から垣間見えた。
何かを思い悩むような……
メロンパンを食べることも忘れ、どこか遠い目をしながら[梧 清花]は思考の旅へと出掛けていたのであった……