君想論 〜2人のサヤカ〜
初めて聞いたその声は、とても小さく聞き取りずらいものだった。
だが、オレの耳は素直に拾った。
意外に柔らかい声質。歌なんか歌っちゃったら声フェチの男子にはウケるかもしれないな……
そんなことを考えてる内に、[梧 清花]は杖をカツン、カツンと鳴らしながら、ぎこちない足取りで歩き出してしまっている。
「あ、待てよ!!!!」
「……………」
オレは小走りで周り込み会話を続行!!!!
「待てって!!!!何も食わなかったら腹減るだろ!!??今日はあと2時間あるんだぞっ!!??」
「……………」
[梧 清花]はオレを無視して歩みを止めてくれない。
「一応、貰っとけって!!!!別に金は払わなくていいからさっ!!!!」
「……………」
こんの……!!!!
せっかく、人が珍しく思いやりを発揮しているってのによぉ!!!???
「梧ッ!!!!!!」
「……………」
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