君想論 〜2人のサヤカ〜


マズい……

コレを機に少しでも距離を縮めようと企んでいたのだが逆に気マズくなった。


っと、悲観的な桐野くんを置いてけぼりに、[梧 清花]が口を開いた。




「昨日のパン……ありがとうございました……」

「へっ!!??あぁー…まぁ、別に気にすんな……」

「美味しかったです……」


何故にそんなことを今頃……??


「昨日の内にお礼しようと思ったんですが……ちょっとアレだったので逃しちゃいました……」

「[アレ]って何だよ……??」

「“アレ”です……」

「……“アレ”って何だよ……??」






「……秘密です……」


小悪魔かッ……!!!!


「そう言えば、まだ名前を聞いてませんでしたね……」


あぁー……そうだったな。


「[梧 清花]です」


いや、お前はもう知ってるっちゅーねん!!!!


「オレは[桐野 泉]だ。気軽に「桐野くん」とでも呼んでくれ」

「はい……では、[桐野くん]と呼びます……」




あら、ホントに呼びやがった。

素直な娘だ。


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