君想論 〜2人のサヤカ〜
第三節
バタン、と金属製の扉が閉まる音が響くと同時に、[梧 清花]は姿を消してしまった。
オレは情けなく、特に意味もなくその場にただ立ち尽くすだけだった。
「……………」
迷惑をかけるから関わらない方がいい……だと……??
訳が分からんな……
……まぁ、そんなことは置いておくとしてだ!!!!
正直、[梧 清花]には元々ミステリアスな一面があり、そこは一々気にかけることではないのだ。
あったとしても「わぁ〜、ミステリ〜」ぐらいの反応だけで十分なのである。
そんなことよりも、桐野くんが今懸念しているのは、単純な事象だ。
[梧 清花]がオレの目の前からいなくなってしまった!!!!
これが重要。
せっかく、二人の男女が授業をサボって、屋上に座りながら談笑(?)する。という、青春ストーリーの1ページ目のようなシチュエーションが脆くも崩れたのだ!!!!
ソボロのように!!!!
(可愛くて好みの)転校生(の女の子)と仲良くなれる絶好の機会をそう簡単に潰したくない!!!!
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