君想論 〜2人のサヤカ〜
「……ぉぉり……ゃゃや……!!!!」
「ッ……!!??」
廊下の方からけたたましい叫び声が聞こえてきた。
女の声ではあるが、[梧 清花]のものではない、甲高く、キンキンと響く少し耳障りな声。
(何だ……!!??)
その声は徐々にこちらの方に近づいて来る。
まぁ、「徐々に」なんてのは建て前、実際のところ声の主はとんでもない超高速スピードで移動しているようだ。
「おぉぉぉりゃゃややややや!!!!」
「ッ!!!!????」
近づいて来るにつれ、声の主の容姿を視認することが出来た。
メンズのヘアースタイルを思わせるようなベリーショートの髪型、150cmを満たしていないだろう小柄な体系、本校指定の体操着(半袖短パン)を着こなした少女であった。
少女は飛行機の翼のように両手を真横にピンと伸ばし、文字通り[猛スピード]で突っ走っていた!!!!
「……………」
体操着を着ていると言うことは……現在(二時限目)の、体育の授業を受けていた生徒のようだ。
桐野くんのクラスの女子でないとすると、体育を合同で授業を受ける隣のクラスの生徒だろう。
しかし、何でまたこの少女はこんな所にいるのか……??
(桐野くんと違い)授業をサボっているとなれば、あんな大声を出して廊下を走ることはない筈だが……
そんな些細な疑問など気にしていられない程、目の前で切羽詰まった事態が起ころうとしていた!!!!
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