君想論 〜2人のサヤカ〜


「馬鹿!!!!お前、何して――……」

「あ゙ぁ……??」


言い終える前に、殺気に満ちた眼光がオレに突き刺さる。

杖を握る左手を掴まれても器用に重心を取り体勢を整え、対等な目線でオレを睨みつけてくる……!!!!


「ッ……!!??」


……オレはさっき、止めに掛かった時にとっさに[梧 清花]の名前を口にした。

目の前にいる肩に掛かるくらいの髪に、水色のジャージを上下に着て、左手に[ロフスト何たら]とか言う杖を握る少女の容姿は[梧 清花]そのものだ。

だが、違う!!!!


・・・
コイツは誰だッ!!??



「汚ねぇな……離せよ……!!!!」

「ッ……ならお前もこの杖を離せよ!!!!コイツは殴る為のもんじゃねーだろッ!!??」


眉間に皺を寄せ、忌々しそうに舌打ちをする[水色ジャージの少女]。

誰かと見間違えていることなどありはしないが断言できる……



コイツはさっきまで、オレと親しげに話していた[梧 清花]じゃない!!!!


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