君想論 〜2人のサヤカ〜
第四節
殺意の成分がタップリ詰まったキメ台詞に一瞬だけ怯むオレ、桐野くん。
その隙に、少女はグイッと腕を捻り上げ、オレの拘束から脱する。
器用に重心を操りながら、ゆっくりと振り上げた杖を地面に下ろした。
コックローチを見るかのような侮蔑のこもったマナコでオレを睨みつけ……
「……二度とあたし達に近づくなッ……!!!!」
「へっ……??」
意味深な言葉を言い残し、件の少女2人をほったらかしにして、ツカツカとした足取りで廊下を歩き出した。
「おい!!!!どこ行くんだよッ!!??」
「ついて来んな。お前、ムカつく」
ムカつくですって!!??
父さん、お前をそんなこと平気で言う子に育てた覚えはありません!!!!
だって、育ててないもん。
……じゃなくてだねぇー!!??
「おい、待てって!!!!」
オレが引き止めようと、右手をグイッ!!と伸ばそうとしたのだが……
それより先に桐野くんの左手が何者かによってグイッ!!と掴まれた。
振り返ってみると、さっきまで頭をググッ!!と下げていた少女だった。
何故か、ちょっぴり癒し系の微笑を浮かべている。
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