君想論 〜2人のサヤカ〜


とんでもないスピードで駆け巡るお友達に「ダメだこりゃ……」とばかりにドップリと溜め息を漏らす少女。

(此方はどうやら“しーなちゃん”と呼ばれているようだ)


「お騒がせしてすみませんね。あの子、人の話を聞いてないことが多いんですよ。耳で理解しても、頭では理解してないというか……」

「人類はそれに“天然”と名付けたんだよ」

「……覚えておきます」クスクス


クスクスと上品に笑っているように見えるこの少女だが、これは決して擬音としての表現ではない。

本当に「クスクス」と発音して笑っているのだ。実際のところ、器用と言うか不思議だ。


「さっきはありがとうございます」

「へっ……??」


オレのマヌケな声に対して、又しても「クスクス」と不思議な笑い声(音?)をあげる。

桐野くん、少し不気味に感じちゃうなー。


「一応、途中までは殴られる覚悟もしていたんですが……貴方が割り込んでくれたお陰で助かりました」


そう言って、ニッコリと満面の笑顔を見せてくれた。


「……………」






……可愛い……


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