君想論 〜2人のサヤカ〜


オレの反応を見て、どこか満足気な表情を浮かべると、何やらわざとらしく話題を変えて来た。


「もしかして、さっきの方が噂の転校生さんですか??」

「えっ……あぁ、そう……だ……」

「ふーん……何か、聞いていた話と少し違いましたね。無口と大人しい女の子だと聞いてたいたんですが……何というか……少し怒りっぽい性格なんですかね……??」

「……………」


さっきまで浮かれて(翻弄されて?)いて、[梧 清花]のことなどスッカリ忘れていた桐野くん。

ついさっき、立ち去っていった方の廊下に視線を向けてみたが……

渡り廊下に出たのか、階段を下って行ったのか……もうソコに[梧 清花]の姿はどこにもなかった。


まぁ、今からでも本気で探せば見つからんこともないだろうが……

さっきこの子の言った通り、[触らぬ神に祟りなし]だ。

あの凶暴な性格を考えると、下手に関わらない方が身のためか……







「……………」







いや待て……

[凶暴な性格]だと……??

30分前(ページで言うと20ページくらい前)の桐野くんとは、随分と正反対な見解だな……!!??

屋上でほんわかと会話を勤しんでいた頃の[梧 清花]が[凶暴な性格]に当てはまるか……否!!!!

どうもついさっき間近で対した[梧 清花]が、屋上でオレと話した[梧 清花]とイコールで繋がらない。

機嫌とか、衝動なんて生易しい次元じゃない。




まるで別人

[梧 清花]が2人いるみたいだ。



“2人”





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